重力ピエロ (新潮文庫)伊坂幸太郎 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
重力ピエロ (新潮文庫) | |
| ページをめくる手が止まらない。 春が格好よすぎて、 黒澤の活躍が嬉しくて、 DNAを超えるものを知りたくて、 ダメだ、病み付きだ。 この本を読むことで自分の中で何かが変わる、というほどの衝撃はありませんが、 自分が同じ場面に直面したときにどうするだろうという問いかけを与えてくれる作品であり、 また、作品の世界観・ところどころに見られる気のきいたフレーズ・ちょっとした雑学で、 心や知識欲を満たしてくれる作品であると思います。 偉人の名言や日常の光景に対して春や泉水などが批評するシーンを見て、 伊坂流の解釈を楽しめるのもこの作品の特徴ですね。 全体的に面白い作品ではありましたが、個人的には、情景の描写に多少の物足りなさを感じたので、 評価は☆4つとしました。伊坂作品らしく、登場人物が魅力的。 途中で犯人は分かってしまったのは、 アタシの勘が鋭いとかそういうことじゃなくて、 犯人の謎解きがこの本のテーマじゃないんだろうな。 だから、読者をそこでドキドキさせたいわけじゃないんだろうなって思った。 謎解きやミステリーじゃなく、 家族愛なんだよね。 多分。 少な... | ||
オーデュボンの祈り (新潮文庫)伊坂幸太郎 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
オーデュボンの祈り (新潮... | |
| カカシが見ることの出来る未来はとても細かな事象の積み重ねである。 「カオス理論」という言葉が本編に出てくる。それは、例えば僕達が今日朝ごはんを食べたか食べなかったか、のような些細なことでも未来には大きな影響を及ぼしうる、ということを表している。そんな理論が物語全体を構成しているように思えた。理由は、すみずみまで伏線を拾ってくれていたから。 いや、すげー面白かったわ。なんか難しいことはあんま考えんと、笑いながら読めましたよ。人に借りて読み始めたら、止まらなくなった。 コンビニ強盗未遂を起こした男が、なぜか仙台の先の島にいる。 その島は150年前から外の世界と交流を断って孤立している。 島には江戸時代につくられた未来がわかる喋るカカシがいて…。 と、なんとなく荒唐無稽でシュールな話のはずなのに、リアルに感じる不思議な小説。 主人公がわけもわからず島にいるという冒頭から、最後、パズルがはまっていくように、すべてがおさまるところにおさまる。 かといって、謎解きのように【意味がわかる】小説ではないけど。 ストーリーが気持ちよく完結するのが好きな人には向かない小説かもしれない。 私は... | ||
陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)伊坂幸太郎 ¥ 880 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
陽気なギャングの日常と襲撃... | |
| 大人の香り、真剣なときに起きるズッコケパターンがおもしろい。プロにも読めない不測事態に、滑りながらひとつの頂点にチャレンジしていく姿がすてき。また、その遂行過程で、客観的に自分たちがいる状況を判断し、共同作業を円滑にすすめる上でかかせないユーモアの会話がかっこいい。こんな4人と仕事をしてみたい。映画みてガッカリしたすぐ後に読みました! 4人の日常が個々に丁寧に描かれていてそれが徐々に1つになっていく。。。 とっても読んでいて爽快でした。 前作を見ているから余計に内容がわかって面白さが増しますが これ単体で読んでもそれなりに面白いと思います。 前作(陽気なギャングは世界を回す)の続きで、初めに4つの短編があってこれが「ギャングの日常」、それにつづく中編小説が「ギャングの襲撃」という構成になっている。 読んでいて楽しいのは前作と同じ。 作品のレベルは、うんそうですね、短編は申し分ないのですが中編小説はちょっと低い。 短編が面白かったらわたしとしては文句はないけれど、文庫になってから買うという選択もありかと思います。 後続の中編小説は襲撃先が銀行じゃないから、金目当てじゃないからつまら... | ||
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)伊坂幸太郎 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
陽気なギャングが地球を回す... | |
| 『本屋大賞』を受賞し正に今ノリにノッていると言える伊坂氏のとってもポップで親しみのある一品♪ 少年心を無くしてないっていうよりは少年そのもの、そしてクセのある特技を持った4人組+サブメンバーのあくまでポップな銀行強盗小話。 おそらく登場メンバーが勝手に動き過ぎていつの間にか小説になっちゃった(失礼)みたいな空気感は読んでて気持ちが良い。 DVD化もイメージが浮かびやすくて納得。 今伊坂作品は何を読んでも外れが無いが敢えて個人的好みで順位付けして☆3とした。 もちろん読んで損なし♪デビュー作では不思議な魅力とオリジナリティーに溢れた世界を、次作では騙し絵をモチーフに巧みな舞台廻しを見せた作者ですが、本作は些か趣向を変えて娯楽性を大幅にアップ、ぐっと読み易く楽しい作品に仕上がりました。 出版社を見ても分かる通り前2作とは一線を画す作品ですので、純文学系(?)とエンタメ系で評価が分かれるかも知れませんが、輪郭の尖ったキャラ、独特の会話、読めない展開はいつもながら。 作品毎に変化を続ける作者ですので、本作以降もどんな成長を見せて呉れるか楽しみです。連帯感がかっこいい。 銀行強盗の最中に... | ||
海の底有川浩 ¥ 1,680 通常4〜6日以内に発送 ★★★★★ |
海の底 | |
| 無念である。まことに慙愧に耐えない。 血が出るほど唇をかみ締め、ふつふつと沸き起こる後悔の念をこらえる。 まったくなんということだ、こんなにおもしろい本を3年も見逃していたなんて。 だいたい作者も作者だ。なんだ、このタイトルは。こんなにおもしろい本に、なんでこんな地味なタイトルをつける? だまされてしまったではないか。つまらない純文学と勘違いしてしまったではないか。 それも3年も。 ちくしょう、おれの青春を返せ。 (以上、気狂いのたわごとでした。皆さんは冷静に読まれますように。)まず読んでみると、やはり台詞回しや登場人物の性格設定などにライトノベル/漫画的なものが多くあります。 この点で抵抗のある人もちょっといるかもしれません。 が、普通の文章で言えば他の作家さんと比較しても遜色ない、あるいはそれ以上の文章力で書かれていますので、 所々の漫画的な台詞に目を瞑れば、ラノベなんて!と毛嫌いしていたむきにも読めると思います。 さて、内容について。 なかなか分厚いこの本(文庫にすると上下巻に分割されるでしょうか)ですが、展開、というかエビの登場は物凄く早いです。 ものの数ページで奴らは押... | ||
邪魔〈下〉 (講談社文庫)奥田英朗 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
邪魔〈下〉 (講談社文庫) | |
| 平凡な主婦が夫の放火が原因でそれまでの不自由ない生活が一転し、階段を転げ落ちるように不幸になっていきます。 自分の今の生活を守ろうとすればするほど、不幸になってしまいなんだか切なくなってしまった。 刑事・九野の義母の存在が良く分からなかったんですけど、どういうことですか? 交通事故の2日後に死んだということですが・・・。 でも、作中に普通に登場しますよねぇ・・・?話自体は、幾人か人間に降りかかる出来事が絡み合い読み手を飽きさせることがありません。実際私も、読み始めたら夜中を過ぎてもやめられないほどでした。そういった意味では素晴らしい小説なのかもしれませんが、読後感が本当に悪いです。私は主人公のひとりと同じ主婦なので特にそう感じるのかもしれませんが、読み終わった後に残るのは虚しさばかりです。結末も中盤盛り上がったわりには適当に決着をつけたような感じで、読後感も含めて評価をするなら星2つだと思います。ただ、結末までの話の運びは息つくひまもないほどの面白さなので、星3つで。物語の展開やスピード感、そして登場人物たちの心理状態の変化の描写の仕方など、どれをとってもすばらしいです。また、この... | ||
邪魔〈上〉 (講談社文庫)奥田英朗 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
邪魔〈上〉 (講談社文庫) | |
| とにかくリアルすぎて怖いくらいです。(作者の文章力がすごすぎ) かんたんに引き込まれました。(幸せ?にひたれます) 義母の件は ? ですが。 一読おすすめします。「最悪」注文しました。たのしみです。どうしても、「最悪」との比較になってしまうが、 「最悪」のほうが文句なしに面白い。 この作品とて、決して面白くないわけではなく、むしろ標準以上の出来と思うが、 私は不幸にも、「最悪」を先に読んでしまったため、上記のような感想しかもてなかった。 これを読んだのは、もう5年近く前だが、 作者がこんなにBIGになるなんて、思いもよらなかった。奥田さんの人間描写は実にすばらしい!! 多くの人達は、一生犯罪に手を染めることなどないだろうと思って生きていると思う。 けれど、この本に登場するごく平凡な主婦が、ささいな幸せ、普通の家族を守るために 自分を見失い、転落していく様子は実にリアルです。 この本を買う方は、上下巻セットで買っておかないと後悔しますよ〜放火を主とした地味でありながら、人間味あふれる 良作!!上下あわせたら約800ページですがスラスラ と読めてしまい良作!!物語は刑事のおじさんと ... | ||
最悪 (講談社文庫)奥田英朗 ¥ 920 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
最悪 (講談社文庫) | |
| 奥田英朗と言えばイン・ザ・プールや空中ブランコのイメージだったので、本著も同様に大いに笑わせてもらえると思っていたので、川谷、みどり、和也、それぞれの最悪の状況のシリアスな描写に最初は若干戸惑いました。 ただ、窮地に陥った時の3人それぞれの言動や考え方のハチャメチャ振りは伊良部先生のキャラクターに通じるところがあり、別の意味で笑わせて貰いました。 根っからの悪人ではない3人が、ヒョンな切欠で堕ちていく様子はやけにリアリティがあり背筋が寒くなるほど上手く描かれています。 奥田英朗の底深さを感じさせる作品です。 結構分厚い作品だけど続きが気になってあっという間に読めた。川谷、みどり、和也の三人が銀行で交錯してからの奇妙な関係がおもしろかった。人にとって最悪の定義が全然違うところが見事に表現されていてとてもおもしろかった。川谷にとっては、近隣の住民からの訴え/銀行からの融資/日々の小さな仕事で得た信頼、それらがうまくいかないことが最悪なのだが、野村にとってはやくざに目を付けられたこと/窃盗をしたことが最悪なことであり、当然のことながら立場によって最悪の定義も違う。また、銀行員のみどり... | ||
TOKYO WAR MOBILE POLICE PATLABOR押井守 ¥ 1,785 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
TOKYO WAR MOB... | |
| 劇場版パトレイバー2の監督自身の手によるノベライズにして、押井さんの処女小説である。 富士見書房から出ていた文庫版(イラストは末弥純)は既に廃刊になっており、エンターブレインからハードかバー版として復刊した際、加筆修正されたものだ。 『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』に代表される初期の押井さんのギャグテイスト溢れる演出だった前作(一作目の劇場版パトレイバー)と異なり、二作目は近年の押井作品に見られる独特のアンニュイな雰囲気が全編に漂っており、前作を終わりの無い夏休み特有の無責任な明るさであるとするならば、その錯覚から目覚めた時のある種の諦めを経験した主人公たちが現実に帰ってから久しい物語である。 この「終わり無き夏休み」というキーワードは、「胡蝶の夢」と同じく押井さんお気に入りのテーマである。 思えばうる星やつら2も上の二つのテーマで描かれた作品である(胡蝶の夢をテーマとしたものは『攻殻機動隊』、『Avalon』などがある)。 『TOKYO WAR』は映画の尺に合わせて泣く泣く削除したシーンを追加した、いわばディレクターズカット版である。 映画では... | ||
噂 (新潮文庫)荻原浩 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
噂 (新潮文庫) | |
| 僕が買った本には、「衝撃のラスト1行に瞠目!」という帯はなかったので、最後読み終えたときは、なぜか笑ってしまうほど、驚きました。 今考えると、僕の中では、犯人の意外性よりラスト1行の意外性のほうが勝ってしまったような感じがします。 作品としても、読みやすく、コンビを組んだ2人の刑事の存在感も十分あったし、父子家庭の親子関係も描かれていて、単純に面白かったと思います。 一読の価値は、ある!! と思います。香水を広めるための噂話が連続殺人事件に発展。事件の手がかりや被害者の共通点を見つけられない中、唯一の共通点として被害者が同じ香水を使用していたことを足がかりに、渋谷周辺の噂好きの高校生たちの協力の元、事件解決の糸口を見つけ出していくという、とても手の込んだ作品だった。また、頼りない警部補の名島と、巡査部長で迫力のある小暮、やもめ同士の息のあったコンビネーションも読んでいて和んだ。最後の一行に注目ということだったが、最初は気付かずあっさり読み飛ばしてしまった。ただ、読み直してみると、最後の殺人には1つの真実が隠されていたことに気付き、最後まで楽しませてくれる作品だった。『衝撃のラスト一行... | ||
少年計数機―池袋ウエストゲートパーク〈2〉 (文春文庫)石田衣良 ¥ 570 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
少年計数機―池袋ウエストゲ... | |
| おもしろいです。 ほんとよくできている。 軽いノリで読めて、でもどこかスパイスがちゃんとちりばめられているっていう、 そのバランス感覚がいい。 浅はかすぎないけど軽く読める娯楽小説として、 完成されたシリーズ。 読む本がない方はぜひおすすめします。 第二作目にして最も挑戦的な作品になった思います。 人気に火がつき、次作を常に待たれるようなシリーズと なりましたが、登場人物やテーマの多彩さは際立っており 当初はこれで池袋シリーズは終わりにしようと思っていた のではないかと想像します。 そして、水の中の目という書き下ろし作品ですが、モチーフと なったであろう綾瀬の事件について、どうしてもマコトに 語らせたかった、あるいはこれを語るために作品を書いた とでも言うような作者の気合を感じました。 しかし、実際の事件の報道をリアルタイムで受け止めた 世代としては、正直「軽い」という感情を禁じ得ませんでした。 ミナガワというもう一人の登場人物を通して語らせる 「暴力のモータードライブ」という表現には心に残るものを 感じただけに、このテーマについては別の作品でまた 読んでみたいと思いました。立... | ||
プリズンホテル〈2〉秋 (集英社文庫)浅田次郎 ¥ 760 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
プリズンホテル〈2〉秋 (... | |
| シリーズ第二作。シリーズの中で最長を誇ると共に、奇想天外な設定で大いに笑わせてくれる。笑いと共に泣かせ所を心得ているのは、浅田氏ならではであろう。最終巻(春)の結末以外は浅田氏特有の"あざとさ"がないので素直に楽しめる。 ヤクザが任侠専用ホテルを経営すると言う設定自身が奇想天外なのだが、今回は馴染みの任侠一家と共に、警察署の一行も同泊すると言う設定で笑いを飛躍させる。この対応に右往左往する従業員の姿がオカシミを誘うが、支配人花沢は相変わらず毅然とし、若頭の黒田の渋さも相変わらず。従業員のうち、アニタなど外国人は平然としていて、当然とは言え、皮肉が効いている。一見、荒っぽい設定の中で、登場人物一人々々に細かい気配りをしているのだ。そして、互いに相手に気付いた警察署一行とヤクザ一家の振舞いも抱腹絶倒。警察組織とヤクザの組織の体質が似ている事への痛烈な風刺が効いている。サブ・ストーリーで語られる元アイドルと愛人の話は泣かせるもので、物語にアクセントを付けている。私がシリーズの主人公と思っているエキセントリックな小説家木戸は本作では影が薄いが、やはり木戸とその愛人の清子、そして叔父でホテル... | ||
闇の花道―天切り松 闇がたり〈第1巻〉 (集英社文庫)浅田次郎 ¥ 540 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
闇の花道―天切り松 闇がた... | |
| 石川五右衛門や鼠小僧次郎吉等の大泥棒から、アニメのルパン三世に至るまで。 日本人は快盗・義賊好きだ。何故なら彼らが庶民の意地と知恵と心意気を持って、 お上が時々やらかす悪どい仕打ちに、それこそ命懸けで挑戦しスカッとするような 仕事をやってのけるから。この本に登場するのは、 そんな悪党なりの誇りを胸に掲げた義賊の最後の生き残りたち。 明治の大親分【仕立て屋銀次】の跡目と言われる【目細の安吉】親分を筆頭に、 ケチな仕事にゃ目もくれない。『盗られて困らぬ天下の御宝、一切合切頂戴しようじゃねぇか!』と、 粋で鯔背な兄貴に姐さん。帝都を駆けた快盗の話。 じっくり聞かせて、やろうじゃねぇか!と声音不思議な闇がたり。 チンピラヤクザや官どもに話し始める松蔵爺さん。平成の世にこそ闇の花道。 興味深く分かりやすい時代小説の決定盤!!。 一巻は明治の警察、新政府と目細一家の攻防もあり読み応え抜群です。夜盗の声音「闇がたり」で語られるのは、不思な老人松蔵のはるか昔の物語。 母を病気で失った後、父により姉は遊郭に売られ、おのれ自身は盗賊の親分に 弟子入りさせられた。だがこの盗人集団には、義理も人情もある... | ||
真夜中のマーチ (集英社文庫)奥田英朗 ¥ 600 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
真夜中のマーチ (集英社文... | |
| 当然のことだが、ファンである作家の作品はできるだけ読んでおきたい。しかしすべての作品が納得できるものとは限らない。好きな作家だからこそ遇えて厳しい目線で評価することも大切だ。本書は『マドンナ』のあとに発表された長編小説で、偶然知り合った3人の仲間(最終的にはそう呼んでいいだろう)が10億円強盗を目論む痛快事件簿といった内容である。しかし「事件簿」というわりにはあまりスリル感には満ちていない。毒がなく、気楽にそして一気に読める作品ではある。 北上次郎氏が書いている巻末の「解説」には、ある奥田作品を称して、「どの短編も長編になりうる濃さを持っていて、それを短く切りつめているから、それぞれのドラマがどんどんあふれて読者のなかに入ってくる」という評価が記載されているが、たしかに先日読んだ『マドンナ』などはそういう趣向があった。「締められた作品」とでもいうのであろうか。分量的にも内容的な濃淡さにも絶妙な工夫が施されている。本書は長編であるが、何となく「この種の作品はこれで終了にしてほしい」というやや消極的な印象をもってしまった。もちろん笑えるし面白いし、読みながら早く結末を知りたいと強く... | ||
日輪の遺産 (講談社文庫)浅田次郎 ¥ 790 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
日輪の遺産 (講談社文庫) | |
| 高校生の時に読みました。 それまで小説というものは全くというほど読んでいませんでした。 しかしある時突然「何か本でも読んでみるかー」と思い立ち、 部活帰りに高島屋の書店によって、この本を購入しました。 「浅田次郎」さんの名前だけは知っていたからです。 読み始めるとびっくり、次のページが気になる気になる。 そしてハラハラドキドキ。 まるで映画を観ているかのような時間でした。 まさに衝撃の一冊でした。 大変面白く読み終えました。 マッカーサーの遺産の行方に対しての書き方がさすが 「浅田次郎」 グイグイ読ませてくれます。 遺産にまつわる悲劇の話などは、涙なくては読めませんでした。 ただ、現代 側の主人公の書き方が どうも 物語としっくりあってないと感じるのは私だけでしょうか? 特に倒産しかけている不動産業の社長の方は、物語最初の方はとてもいい味だと思っていましたが、物語最後の方では、もてあそんでしまっていると感じました・・・・。 しかしながら、ストーりーとしてはとても面白く、本当にあったかのような話となっており、 その話の展開の仕方にさすが「浅田ワールド」... | ||
神無き月十番目の夜 (小学館文庫)飯嶋和一 ¥ 670 通常4〜5日以内に発送 ★★★★★ |
神無き月十番目の夜 (小学... | |
| この作品では初めに悲劇的な結果が提示される。読者は結末がどうなるかを知らされてから小説を読み進むことになる。 物語全体は、まるで運命の歯車が多くの選択肢の中から、一番悲劇的な道を選んで進んでいく。登場人物達も、幾度も悲劇を回避する道がありながら、最悪の選択を選んでいく。れほど読んでいて、苦しい本も少ない。 しかし上手い!すごい作者だ。 ひとことで言って、素晴らしくよく書けている時代小説だと思う。 歴史には公の記録としては残されず、年代すら定かではない、ある『事件』の伝承。 その少なすぎる資料を基に書かれた小説だとは思えぬほど話が理詰めに進行し、 息を殺して読まなければならない箇所があるほどに鬼気迫るものがある。 感情論に頼らず、起こったことだけが極めて淡々と綴られているにもかかわらず、 江戸時代初期の政や農民の暮らしの、色や音や匂い、水の冷たさまでもがまざまざと感じられ、 物語が破滅的な内容だけに、読み進めるほどに哀しさと恐ろしさが募っていった。 正直言ってこれを読むまでは全く知らなかった事件だが、読後は並々ならぬ興味が湧いた。 地形や言葉、風習などの時代考証が完璧であることは言... | ||
真夜中の喝采―きんぴか〈3〉 (光文社文庫)浅田次郎 ¥ 560 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
真夜中の喝采―きんぴか〈3... | |
| 最終巻まで読み終えて、『きんぴか』がいい!という読者のかたが多いわけがわかった。・・・やっぱりいいもの。 ちょっとじーんとくるエンタメ作品と決めてかかっていたら予想を裏切られた。えっ!うそっ!がーん!という展開ののちに、ほろ苦さ漂う結末に・・・・・・ 思うに、3人の過ごした夢の砦は、巨悪を倒すための拠点ではなかった。そもそもこんな今時希少な筋の通った男たち、世間の枠に収まりきらない男たちが、ひとつところに止まっていられようはずがないのだ。夢の砦は、躓いた男たちが友情という心地よい毛布にくるまれてしばし羽を休める場所であり、それまでの出来事に決着をつけ、自分を見つめ、次なる場所へ向かうためのジャンピングボードだったのである。砦を後にする3人に、輝かしい未来が約束されているわけではない。それでも一歩を踏み出さなければならない、そういう宿命を背負った男たちなのだった。 それにしても、元大蔵官僚・広橋に次の一歩を踏み出す決心をさせた事件は重かった。その分、彼はまわりまわって引き継がれた「勇気」を糧に、精一杯のことをしなければならない。3人を巡り合わせてくれた退職刑事・向井のためにも・・・... | ||
江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)江戸川乱歩 ¥ 1,050 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
江戸川乱歩全集 第1巻 屋... | |
| ◆「赤い部屋」 今宵も異常な興奮を求めて集まった「赤い部屋」の会の面々。 今晩の語り手である新入会員のT氏が、怪異な物語を語り始めた。 彼はこれまでに九十九人の人を殺害してきたというのだが……。 乱歩が谷崎潤一郎の「途上」という短編に触発されて 命名した「プロバビリティの犯罪」が描かれます。 「プロバビリティの犯罪」とは、明確な殺意を持ちつつも、直接的な行動を起こすことなく 人を死に至らしめることで刑罰から我が身をまもろうとする確率を利用した殺人方法です。 作中には、そうしたトリックが数多く盛り込まれているのですが、 オチに関しては賛否両論かもしれませんw 代表作!屋根裏部屋の散歩者なんてもしかしたら変態かもしれません。風呂の覗きや痴漢みたいなものかもしれません。よんでいるとスパイダーマンか足八本の蜘蛛にでもなったような気がしますよ。しかしこの発想はいいですよね、タイトルも抜群に良い。 痴漢や変態、好奇心趣味の犯罪思考・・。心の隠れた部分って人間もっていますよ。あ、そうそう乱歩は筆力が抜群!!こんなすごい人いるんだね。乱歩の作品の... | ||
血まみれのマリア―きんぴか〈2〉 (光文社文庫)浅田次郎 ¥ 560 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
血まみれのマリア―きんぴか... | |
| 一巻より断然おもしろい! ストーリーにもふくらみと深みが増して、3人はどんどんかっこよくなります! 貫禄十分であり、男気に溢れ、結束ますます強く、そのくせやさしさは心の奥底に隠して・・・・ ある人が軍曹を指して語ります。「仕方があるまい。良心とは不自由なものだ」 これに尽きるでしょう。何かにつけて割を食い、不自由を強いられているのは、彼らが良心のかたまりだからなのです。 脇役にもとんでもない人物が登場してきます。『プリズンホテル』でもおなじみ、血まみれのマリアさん。「カッポロの古万」こと北海道のある村のヤクザ。彼の出てくるくだりは笑えました。 でも、ゲラゲラ笑えるところも好きなのですが、もっとひかえめな箇所、どの文章にもくすっと笑えたり、皮肉を感じたり、しんみりしたり、さまざまな味わいがあるところが出色。一文一文、充実度の高い小説だなあと思います。 たとえば天政連合会では「月刊侠道通信」という機関紙を発行しているのですが、これについて、 「営業広告をとる苦労がない。(中略)ダイヤルQ2とか、大人のオモチャや防弾チョッキの通販ばかりでは下品になるので、たまには一流企業の総務部長に... | ||
三月は深き紅の淵を (講談社文庫)恩田陸 ¥ 700 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
三月は深き紅の淵を (講談... | |
| 内容は、たくさんの方が書き込んでいらっしゃるので、あえて書かない。 私はこの本で恩田ワールドに引き込まれた。こういう形式はほかにもいろいろあるが、「三月」はたまらなく魅力的だ。図書館で借りて読み、迷わず買いに走った。 ただ、これを入門書にしてしまうと、続けて読めない人もいる気がする。恩田ワールドはどこまでも広がりを持っているので、これで偏見を持たないでほしい。この類は稀に含まれているだけだから。恩田陸さんの作品は、それが備えている振動が小さいと思う。 振幅が小さく、振動の周期も長い。ゆったりとした波を描く。 平坦なのだ。まるで(今、非常に不謹慎なたとえを思いついたがそれは禁じ手にする) 中京競馬場みたいなのだ(不謹慎じゃないけど頭悪そうなたとえだな)。 しかしそれは読後の感動が小さいという意味ではない。 確かに「こりゃすげぇ! 今までこんな本読んだことねえや」 ってな種類の感動はやってこない。しかしながら確実に “染み入るような”感動がやってくる。 いい本なんだけど、だれにも紹介したくない、 そんな自分だけのものにしたくなるような本を書く、 それが恩田陸さんであり、その代表... | ||